試練

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でも、そこはやはり悠馬くんだ。 「課題が見えたな。」 「え?」 「岳。お前は耳がいい。だから声の発信源で距離が分かるようになれ。西岡。相手がよく見えているのは分かるが、お前は攻撃が粗削りすぎる。もう少し無駄な動きを省け。 訓練次第で簡単に出来るはずだ。」 「え、なんで俺らだけだよ。卓也は。」 「バカ。相手は警官だぞ。組手すりゃ俺より強い。」 「…マジかよ。」 「ははっ!なんかごめんね?悠馬くん。」 「今やれば俺の方が強いかもしれないが。」 「はい?どこから来るわけ?その自信。」 「さぁ。」 「ならやってみる?」 「…ブハッ!卓也でもムキになることあるんだな!知らなかった!」 竜くんにも岳にも笑われてしまった。 負けず嫌いな性格が思わず出てきてしまったようだ。 目の前の悠馬くんはニヤニヤしてるし、そんな自分がおかしくなってみんなで笑った。 …ああ。なんか、やっとこの空気になった。 やっと悠馬くんを捜し出せた。そう実感した。 悠馬くんが出ていったのは自分のせいだと責め続けていた二人。そして、自分で捜して見つけたことで生まれた安堵。 自分に責任を感じて、三人でいてもここまで柔らかい雰囲気になったことはなかった。 悠馬くんが目の前にいる今、二人の心が大きく変化していることに気づいた。 "悠馬くんのために何かしたい" 常に他人のために動いてきた悠馬くんだからこそ、二人の心をそう動かしているのだ。 管理本部への襲撃。これを聞いたら少し前の竜くんなんて猛反対していただろう。 岳だって恐怖で自分を内に閉じ込めていたはず。 それをせず、文句も言わず、ただついていくという意思を示した二人。 これはその証明だ。
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