試練

23/48
前へ
/502ページ
次へ
ピロン! 悠馬くんの携帯からメール通知音と同時に気づいた狼煙。 「…見つけた!神園!行くぞ!」 「見つけたって…まさか、」 「ああ!入り口だ!」 急かす理由を知った仲間たちは、悠馬くんに応えるように捜索範囲の手を広めていた。 そして、ここに来て57日目、つまり、イベント開始3日前、念願の入り口を見つけた。 「…あ、藤本!ここだ!」 「…本当だ。間違いない。……なるほど。見つからないわけだな。」 歩いて40分、到着した管理本部の入り口は、見た者を黙らせるほど。 長い蔦 笹が揺れる視界の悪さ 岩清水が零れる苔で覆われた巨岩 巨岩は見た者を錯覚させる。 「こんな重いものは動くわけがない」と。 そこが心理を使ったミスディレクション。 「…なぜ分かったんだ。」 「たまたまだ。周りの土をいくら刺しても見つからないままで、日がたつほど焦っていた。でも、焦りは禁物だろ? その焦りを無くそうとストレスをぶつけたら、岩が簡単に砕けたんだ。 そこでエリートが気づいた。 ”この岩、軽石なんじゃないか?”って。 男三人くらいで簡単に動いたんだ。」 「…さすがエリート。東大は文科Ⅱ類か。」 「…悪いか。」 「悪くねぇよ。よくやった。ありがとう。」 ”井口”くんは、どうやら悠馬くんがつけたあだ名がみんなに浸透しているらしい。 それが面白くて、つい頬が緩む。 それ以上に悠馬くんの言葉に頬を緩めたエリートくんがいた。
/502ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2637人が本棚に入れています
本棚に追加