vs管理本部

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降り注ぐ叫び声の雨 強い風の音にも負けないくらいの 悲痛の声 時折ガンガンと鳴っているのは、自分の頭と拳をヘリにぶつけているから 悲しみ 苦しみ 喪失感 虚無感 そして、行き場のない怒り それを表に出し、文字通り"ぶつけて"いる どこからどう見ても、狂っている状態で 「…宮田さん。すみません。これを預かっててもらえませんか。」 「…それは構わんが…大丈夫か?」 「はい。…僕が行かなきゃダメなんです。…あれは、僕じゃなければ止められない。」 「……………」 「行ってきます。」 …そうだ。僕は決めたはずだ。 何でも背負いすぎの悠馬くんの重荷を、一緒に背負っていこうと。 何度も。何度でも。 痛みが繰り返したとしても、その痛みさえ一緒に背負っていこうと。 大事な形見を預け、ゆっくりと悠馬くんに近づき、後ろから両腕ごと締め付けるように押さえ込む。 「うわあああああああああ!!!」 「悠馬!やめろ!」 「うわあああああああああ!!!」 「自分を傷つけないでくれ!悠馬!」 「何でだ神園!どうして岳が死ななきゃならねぇんだよ!なんでだよ!」 「…悠馬っ!」 「まだ未来があるのに…13年しか生きられねぇなんて…」 「……ッッ!」 「なんでだよ!どうしてだよ!神園!」 「…悠馬…」 「何で俺はまた生き残ってんだよおおお! うわあああああああああ!!!」 後悔。懺悔。そして後悔。 無限のループ。それが生き残った者の宿命。 生き残った者しか味わえない苦しみも、痛みも、悲しみも すべて自分の責任であるかのように自分を責める。 それを、僕に、渡せ。 「それでも今回の生存者は二人だ!僕と君の二人! 僕は君がいたからここまで生きて戻ってこられた!」 「……うぅ……」 「悠馬一人じゃないんだ!僕もいるんだよ!」 「……………」 「…ありがとう、悠馬くん。…一緒に生きてくれて、ずっと守ってくれて、ありがとう。」 「ッッ!」 少し目を開けた。 僕と視線が重なった。 自分の血と仲間の血が混じって、顔中がブラッディだが涙の跡は綺麗なもので。 お互い、目を閉じ お互い、抱き合って 「「うわあああああああああ!!!」」 同じ痛みを共有した。
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