ハイデル騎士団

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「ムト!スティン!食事に行かないか!」 そう言ったのは、同じくハイデル騎士団員の女騎士アニーステラ・キャル…アニースだった。 確かに腹が減ったと頷いて、スティンが腕を振り、ああ、行く!と答えた。 今日は週末の藁(こう)の日で、仕事は休みだ。 アルシュファイド国民のほとんどは、週末の藁と円(えん)の日は休日となっている。 ハイデル騎士団も、遠征中はこの限りではないが、今日と明日は休みだ。 肝心のミナの護衛はと言うと、臨時の護衛として正騎士が2人就くことになっている。 アニースには仕事中毒めと言われるのだが、本音では休んでいるより仕事に就きたい。 だが休みの日でもなければこんな訓練はできないので、助かっているのも事実だ。 それはさておき、途中で合流して食堂に行くと、この日は人がまばらだった。 いつもは多いのだがと時計を見ると、そのいつもより、遅い時間だ。 「腹が減るわけだ」 ムトが呟くと、アニースが、お前さんたちだけじゃないよと言った。 視線の先を見ると、同じくハイデル騎士団員の少女騎士イルマ・リ・シェリュヌと、セラム・ディ・コリオ、パリス・ボルドウィン、ステュウ・ロウト、マルクト・シラキウス、ヘルクス・ストック、サウリウス・ハングロ、ゼノ・カンツォーネ、ラシャ・ベルツィオの姿が見えた。 ファロウル・シア・スーン…ファルと、シェイディク・カミナ・レント…シェイドは、自宅に戻っているのだろう、2人だけ姿がない。 「せっかく揃ったんだ、どこかに行かないかい」 席に着いて食事を始めると、アニースがそう提案して、ムトは顔を上げた。 「例えば?」 「んー、フォムステッツ騎馬場かな」 「そういえば、最近行っていないな」 「なら決まり!おーい、フォムステッツ行くやつ手を上げろ!」 すると散らばって座っていたハイデル騎士団員たちが手を上げ、ほかにも見覚えのある者たちが手を上げた。 「じゃあ、8時半ば出発!遅れるなよ!」 アニースはそう言って、目の前の食事を片付けた。 「あんたらも遅れるんじゃないよ」 食器を返却口に返すべく、アニースが立ち上がって念を押した。 おう、と返事を返して、ムトとスティンも食べ終わる。 アニースの言葉に従い、8時半ばには全員身支度をして黒檀塔の正門前に集まった。 そこでは大型の馬車が2台待機していて、集まった全員が乗れるようだった。 順に乗りこんで、馬車が動き出す。
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