第1話 おじさん、勇者、魔王さま…… (1)

4/15
前へ
/15ページ
次へ
だって俺の家は、母と子の二人だけの家族だから。お袋が死んでしまうと、この世で一人ぼっちになってしまうのだ。 だから俺は、とても頑張ったな……。 まあ、お袋までとはいかないけれど、かなり売り上げの数字も追いついてきた。 だから俺、お袋に安心していいのだと、言いたかった……。 で、でもね、お袋様、死んじゃったよ。 俺一人を残してね。一昨年だけど死んじゃった……。 まあ、そんな訳だから、俺とうとう天涯孤独になったみたいだ。 ……じゃ、そんなにも寂しいのなら、結婚すれば良いじゃないかと、皆は思うかも知れないけれど。 もうね、俺は三十歳だからね。それにさ、自営業で収入が安定しないから。嫁のきてもないのよ、困った事に。 まあ、結婚相談所?  と、いう物に、相談してみようと考えた事もあるのだ。 でもね、ついついと恥ずかしくて、中々相談にいけない訳なのだよ。 だから俺、いつまでたっても、独身貴族でいる訳なのだ。 ああ、マジで辛いね、彼女も奥さんもいない独り身の生活は──俺本当の所は、淡い新婚生活を夢見る、少しばかり年頃を過ぎたおじさんというか、アラサーなのだよ。 それに会社勤めでもない俺だから、ついついと引け目に感じる──特に女性に対してだけどね。 まあ、そんな訳だから、年々自分自身に自信が無くなり、引け目に感じるし、引っ込み思案にもなっているよ。 だから俺は、気立ての良いお嬢様達現れても、恥ずかしい訳で。全く告白など出来ないでいる訳なのだ。 (3)
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加