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『……ん? えっ? あれあれ?』
何だ、この光は!
俺の目の前、それもフロントガラス越しに。
対向車のアップライトのような眩しい光……。と、いうか眩しくて大きな球体が、いきなり湧いた。
だから俺は、「うゎ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ~?」と、大きな声を出して叫びながら、愛車の急ブレーキを踏んだのだ。
◇◇◇
〈カン──! ガン──! カン──!〉
刹那……。
いつもならとても物静かで、それでいてお酒でも飲みながら、本でも読もうかと思う。それも一日の中で一番の安息の時間の筈なのだが。今日はそうはいかぬようだ。
儂は先程から、ある者と剣戟を交わしていて、中々決着がつかないでいたのだが。いよいよ、そろそろな、儂とその者とも決着がつきそうじゃ。
「魔王覚悟──」
刹那──
「うっ、うぐっ……そうはいかぬぞ、勇者! まだまだ儂は終らんよ」
「そうか! では死ね、魔王よ、ここがお前の墓場だ──」
勇者といわれる者、儂にそう言葉を申すと。そのまま、交わっている剣を強引に力押しで抑え込んできたよ。
儂も元気の良い時なら、これをも押し返す事も可能だが。
先程から長い時間を掛けて勇者と争っている訳で、もう儂自身の体力も魔力もつきかけているよ。
だから先程述べた通り、そろそろ儂の命も消えそうじゃ。それにもうこの世界には、
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