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「ハァ、ハァ、ハァ。…なんとか、3匹捕まえた……」
拓未がやっていたのを思い出して、スケールの上にプリンカップを乗せ、ゼロにしてから捕まえたゴキ君たちを、降り落とした。
「63、35グラム、っと。……記入しなきゃ!」
拓未が持ってきた小さなノートに、日付、虫の数、そして重さを記入する。
ガマくんのケースを覗くと、食べ残しはなかった。
「これで、よし、っと。
ガマくん、お待たせしました~。ごはんでーす」
私はプリンカップをさかさまにして、3匹いっぺんにケースへと落とした。
ガマくんは、慣れているのか特に驚く様子もなく、かといって、犬みたいに喜ぶわけでもない。
無表情な様子でじぃーーーっと、している。
(人が見ていたら、食べないのかもしれない。)
そう思って、立ちあがろうとした時だ。
パシャン! バシャ! パシャ!
という派手な水音を立てて、ガマくんは虫を食した。
両手を使って、一生懸命口に押し込んでいる。
「うわぁぁ。すごっ!」
思ったよりも、ずっとずっと不器用に虫を食べる姿を見て、何だかとても可愛らしく思えた。
私にとってカエルは、決して嫌いな生き物ではない。
カエルのイラストも好きだし、ぬいぐるみも持っている。
確かに本物は少々グロテスクだけれど……
「あんがい可愛いかもしれない……」
単純な私は、絆されるのも早かった。
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