拓未がやってきた

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 もとはといえば、1か月前。  私の安請け合いがそもそもの間違いだった。  2つ年上の姉、佳恵から「夫の実家で法事があるんだけど、拓未を預かってもらえないかしら?」という電話を受けた。  聞けば、拓未は塾通いをしており、夏期講習に申し込んでいるため法事には参加できないという。  姉の家と私の家は電車で2駅と近場なので、私の家からでも十分塾に通える距離だった。 「じゃあ、夏休みが始まったらすぐ行かせるから、よろしくね」 「まかせて。たっくん、大きくなったんだろうね~」  久しぶりの甥っ子との再会。  私は純粋に、拓未との再会を楽しみにしていた。
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