こんな天気のいい日には

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こんな天気のいい日には

 吉川透弥(よしかわ とうや)は変人と呼ばれている。  飄々とした態度につかみどころのない性格。そして、時折見せる奇々怪々な行動。だからクラスメイト達は彼と距離を置いている。僕は彼について特段気にもしていないし、関わりも持っていない。そんな風に日々を過ごしている……はずだった。  昼休みの教室はいつもどおりにぎやかだ。その中で僕は一人、本を読んでいた。もう少しで読み終わる冒険活劇。ページをめくる手は止まらない。この物語は一体どんな結末が用意されているのだろうか。周囲のことなど忘れ、夢中になって読み進める。  そんな時だ。ぽん、とふいに肩を叩かれた。振動が伝わる。驚いた体はびくりと跳ね上がった。一気に本の世界から現実へと戻る心。反射的に振り向く。そして、むにっと。 「ははっ。いいんちょ、引っかかったね。これで五回目」 「……吉川くん」  彼の指が、僕の頬へと食いこんだ。 「いいんちょのほっぺ、やわらかいよね。気持ちいい。飽きない」  ぷにぷにと何度もつつかれる。そんな柔らかな頬とは正反対に硬直する体。こんなやりとりをするようになったのは一週間ほど前からだ。     
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