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SRPU 記元前エピソードⅠ『正義の裏側は正義』
『未来の月について予言する者を批評する老人の小言』
また一歩『未来』と言われた幻想が遠ざかっていく。
だが――― 幻想を現実に叶えようとするなどある意味、矛盾でもあろう。
『今』という現実の中にありえないものは、存在しえないものである。
『現実』にありえないと言われるものは、現実にあってはならないものだ。
だが、いつもの様にそこには夜が訪れ、そしていつもの様にあの白い月が笑う。
恐らく『未来』永劫変わる事無く……
それは幻想じみてはいないか……?
この『今』という時を紡ぎ出してきたその存在、それが『現実』そこにあるのに。
美しく、妖しく、悲しく、陽気に。
心強く、恐ろしく、寂しく、狂気に。
時に女性的に、また時に男性的に。
日に日に死に、そして産まれ変わる我等が片割れよ。
その月が仇名す『未来』とて『今』『現実』にありえないと思えても、
永劫変わる事無く笑っているように見えたとしても、すべては幻想じみた錯覚の内、妄想と呼ばれて終わる事であろう。
予言出来るのは何時の世も、狂った幻想だけだろうし、またそれを信じる事もしかり。
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