すべての星が燃え尽きるとき

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すべての星が燃え尽きるとき

 私には生まれながらに星がない。  それを嘆いても仕方がないことは、よくわかっている。  この街では、星を持って生まれてくる者が正当で尊い存在とされていた。星を持つ者は小さなガラス瓶にそれを入れ、ペンダントにして肌身離さず大切に持ち歩いた。  しかし星には「死」があり、有限だとも聞いている。手入れの有無に関わらず、一度死に向かってしまった星を止める術はないらしい。星を持つ人々は、星の輝きにすべてを捧げ、わずかな衰退の兆候に怯えながら生きているのかもしれない。  私のように生まれながらに星を持たない者が「先天的星なし」、後者のように星を無くしてしまった者が「後天的星なし」と呼ばれた。  星を持つ者は、選民として富裕街に住み、星なしたちは荒廃した裏町に住み着いた。富裕街の昼は日の光が存分に差し込み、夜も賑わった店の灯りで華やいでいた。対して星なしたちの町は、いつもどこか薄暗くてうらぶれていた。  星なしの中には、星を持つ者を徹底的に恨んでいる者もいた。そのような人種は「星盗 り」になった。胸元で輝く星入りのペンダントをむしり取り、星を失った者は時に失望し     
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