春と雪

第2章 青天の霹靂

「君には、長くここで学んで欲しいと思っている」

頭を殴られたような衝撃だった。同期は半分以上東京本社に戻っていて、自分は次だろうと疑いもしなかった。会社に所属しながら、自分に都合のいいように物事が決まるわけない。おめでたい予測を立てていた自分が滑稽だった。

第一志望だった。インターンで聴いた仕事の話に惹かれ、自分がプロジェクトの指揮をとれるようになりたいと思い入社したが、その事業ごと撤退すると聞かされたのがもう半年前。それでも中央に戻ればチャンスはあると思っていた。

転勤で恋人も友人も疎遠になり、同期との微妙な不和も感じていた。だから夢を追っていないと頑張れなかった。

足元が崩れ落ちるような感覚だった。