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「――で。今さらなんだけど、なんで綾は中条と別れたわけ?」  休み時間。  真央ちゃんがあたしの席にふり向いて、ほおづえをついた。 「あ、この席ラクでいいな。前みたいに、お互いの席に移動して話す必要ないもんな」 「わたしは、あいかわらず移動だけどね」  有香ちゃんはあたしの席の横にイスを運んできて、腰かける。  びっくりした。  真央ちゃんたら、とつぜんきくんだもん。 「それ……やっぱり、言わなきゃいけない……?」  あたしは、視線を教室の後ろに泳がせた。  ヨウちゃんは教室の後ろのロッカーに腰でもたれて、大岩と部活動のプリントを見ている。 「まぁ、言いたくないなら、別にいいけど。綾、別れたときも理由は話してくれなかったじゃん。でも、うち的には、ずっと引っかかってんだよね。だって綾たち、別れる直前まで、ふつうにラブラブだったろ。バレンタインデーのチョコも手作りしたし」 「そういえば、三人で、わたしの家でつくったね。だけど、真央。もう、この話はやめようよ」  有香ちゃんがおろおろと、あたしと真央ちゃんを見比べてる。 「そりゃ、綾にだっていろいろ事情があるんだろうし。本人が話す気のないことに、口出ししたらいけないのは、わかってるよ。だから今まで、うちだって、なんにもきかずにいたじゃん。でもさ……さっきの席がえのことといい。なんてゆ~か、どうしても気になってさ……」  真央ちゃんは、カリカリ、自分のショートの髪をかいた。 「だって、中条、いまだに綾のこと見てるぞ」  ドキッと心臓が鳴った。 「……え?」
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