46人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
「――で。今さらなんだけど、なんで綾は中条と別れたわけ?」
休み時間。
真央ちゃんがあたしの席にふり向いて、ほおづえをついた。
「あ、この席ラクでいいな。前みたいに、お互いの席に移動して話す必要ないもんな」
「わたしは、あいかわらず移動だけどね」
有香ちゃんはあたしの席の横にイスを運んできて、腰かける。
びっくりした。
真央ちゃんたら、とつぜんきくんだもん。
「それ……やっぱり、言わなきゃいけない……?」
あたしは、視線を教室の後ろに泳がせた。
ヨウちゃんは教室の後ろのロッカーに腰でもたれて、大岩と部活動のプリントを見ている。
「まぁ、言いたくないなら、別にいいけど。綾、別れたときも理由は話してくれなかったじゃん。でも、うち的には、ずっと引っかかってんだよね。だって綾たち、別れる直前まで、ふつうにラブラブだったろ。バレンタインデーのチョコも手作りしたし」
「そういえば、三人で、わたしの家でつくったね。だけど、真央。もう、この話はやめようよ」
有香ちゃんがおろおろと、あたしと真央ちゃんを見比べてる。
「そりゃ、綾にだっていろいろ事情があるんだろうし。本人が話す気のないことに、口出ししたらいけないのは、わかってるよ。だから今まで、うちだって、なんにもきかずにいたじゃん。でもさ……さっきの席がえのことといい。なんてゆ~か、どうしても気になってさ……」
真央ちゃんは、カリカリ、自分のショートの髪をかいた。
「だって、中条、いまだに綾のこと見てるぞ」
ドキッと心臓が鳴った。
「……え?」
最初のコメントを投稿しよう!