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「あれ、イヤなのは綾だけじゃないから。ほら、リンも女子たちも、キリキリしてるから」
真央ちゃんに言われて、腕から顔をあげたら、リンちゃんたちのグループが、廊下をチラ見して、ひそひそ話してた。
「男子的にもイヤだと思うよ。卯月先輩って美人じゃない? 中条に見せつけられてる気がするんだね」
有香ちゃんの言う通り、大岩たちも後ろのロッカーにもたれて、廊下ににらみをきかせてる。
「せめて、どっかに言って話すとかさ。放課後に会うとかさ」
「でも……見えないところで会われるのも……イヤ……」
つぶやいたら、真央ちゃんがあたしの席の向かいで、はぁ~と息をはきだした。
「やっぱ、綾。元気ないのって、ぐあい悪いとかじゃないんじゃん。あいつらのせいなんだろ? うちらには、隠さなくていいからさ」
「……ご、ごめん~……」
「――で、誠、それはなに?」
ふいに、有香ちゃんがあたしのとなりの席に会話をふった。
「え? あ~う~ん」
お弁当を食べ終わってから、誠はずっと自分の席でぼんやりしている。
見たら、手に、チラシみたいなものを持っていた。
「これさ~。きのう、児童館で見つけたから、もらってきたんだけどさ~。和泉を見てたら、つらそうで……言うのどうしようかな~って」
「なになに?」
真央ちゃんが誠の手から、チラシを奪い取った。
あたしものぞきこんだら、「花田ミッドサマー・フェステバル」って、赤い活字で横書きされてる。花火の写真や出店のイラスト入り。
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