第二十六章 鈴木實⑫

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「お前たちはどうして、チャイニーズクラシック(漢文)を知ってるんだ。俺たちは大学で習ったばかりなのに」  と不思議がる中国軍パイロットに、鈴木さんは、 「じゃあ、日本の若い中尉、大尉に、どれぐらいの漢文の実力があるか、試してみろ」  と、何人かの部下を集めて、黒板で実演をさせた。 「すると、彼らは張り切っちゃって、杜甫の詩、赤壁の賦や太公望の故事をスラスラと書きよりました。それで中国の連中、驚きましてね」  日本の旧制中学で習った漢文は、中国の大学で教えるレベルのものであるらしかった。おかげで、日中搭乗員のコミュニケーションはとてもスムーズにいった。 (つづく)
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