後編

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「……はぁ」  この宿に滞在して、一週間。マーゴットはただ一人を待ち続けていた。三食届けられる食事も喉を通らない。殴られた頬や身体にはきちんと治療が施されていたが、動く度に鈍い痛みが走る。 「……はぁ」  何度目かわからないため息をこぼした時、階段を駆け昇る音が耳に入った。もしかして、と思い、マーゴットは立ち上がる。けれども、元家族に蹴られた腹が痛み、その場にうずくまってしまった。 (ああ、もう。笑顔で迎えるはずだったのに)  ばん!と勢いよく開けられた扉な向こうには。
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