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「マーゴット!」
銀の髪を振り乱し、いつもは冷淡に細められたシルバーグレイの瞳が見開かれていた。蹲るマーゴットを見つけると、軋む床を鳴らし、駆け寄ってきた。
「大丈夫か?」
「……ブラッドルー様」
会いたくて堪らなかった相手が目の前にいる。マーゴットは痛む体を押して、ブラッドルーに抱きつく。そして、汗と泥で汚れた頬に唇を落とした。
「お怪我は?」
「俺のことより、マーゴット……ひどい怪我だ」
「わたしは、構いません。ブラッドルー……いいえ、ドリューと一緒に生きていくためだったらこんな怪我など怪我のうちに入りません」
「……ああ、マーゴット! 僕の大切な……マーゴット……」
感極まったブラッドルーが、マーゴットの細身体をかき抱く。一瞬鋭い痛みが走ったが、マーゴットはブラッドルーの背中に腕を回した。
「マーゴット……私の、マリー」
「ドリュー……愛しているわ」
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