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ブラッドルーの手がマリーの腫れた頬に添えられる。一瞬ブラッドルーのシルバーグレイの瞳が悲しげに細められた。マーゴットは、大丈夫だと言わんばかりに微笑むと、閉じられたブラッドルーの唇にキスを落とす。マーゴットの大胆な行動に、ブラッドルーが驚きに目を見開いた。けれども、この行為を咎めるものは今誰もいない。
触れるだけだった唇は、どちらからともなく深いものに変わっていく。
「……っ、あ、は」
「マリー、マリー……」
ドリューとマリー。互いに幼少期の名で呼び合い、息付く暇も無く唇を重ねる。マーゴットの開いた口から、ブラッドルーの舌がねじ込まれた。
ブラッドルーの舌がマーゴットの口内をなぞる。しかし、殴られた時に口腔内を切っていた部分を刺激され、マーゴットは痛みからか思わず口を閉じてしまう。
「っ!」
がり、と鈍い音がマーゴットの耳に入る。
「っ、ぐ」
ブラッドルーのうめき声とともに、唇が離れる。
口の中にじんわりとさびた味が広がった。自分のものではないと、すぐ分かった。口の中を刺激されて、痛みからかブラッドルーの舌を噛んでしまっていた。
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