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自分からお願いしておきながら、 まさかの展開に驚いてしまい、 思わず水上君の顔を見ると、 優しい目でじっと見返してくれていて、 ますますドキドキしてしまう。 「えっ、ここフロアなんですけど」 「葉山さんがやれって言ったんですよ」 年下なのに、しれっと言い返してくれる。 「そうだけど。普通はやらないよね?」 「そうなんですか?自分、あんまり常識とかないんで。じゃあ、これからはやめておきます」 そう言われると急に惜しくなる私。 水上君に触れるとテンション上がるのは事実だし。 「ここでお願いした私が悪かった。次からはご飯にでも誘うわ」 先輩から食事に誘う宣言なんて、 先日のセクハラにパワハラまで加わった感じだけど。 「マジっすか?自分肉がいいですね。楽しみにしてます」 「いや、やる気が出ないときだってば」 またもやあっさりと承諾されて、 誘った私が戸惑わされている。 「なんか、水上君に相手してもらったらちょっとスッキリした。ごめんね、仕事の手止めちゃって」 すっかり調子を狂わされたまま席を立つ。 ただペコリと軽く頭を下げて返事をした水上君は、 すぐに自分の仕事に戻っている。 先輩の私の方がすぐに切り替えることが出来なくて、 話しかける前とは違ったモヤモヤを抱えて仕事をする羽目になってしまった。 自席に戻りそっとため息をつくと、 チラッとこちらを見た水上君が半笑いを浮かべてまた仕事に戻っていった。
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