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水上君を初めて見たときの感想は「少女マンガかよ!」 中学時代、私は私立の共学中高一貫(一応、難関校に位置付けられていた進学校)に通っていたのだけど、当時の高等部にモデルをしている男の先輩がいた。 すらりとした長身で、両親も祖父母も曾祖父母も日本人だというのに、なぜかハーフのような顔立ちのイケメン。 しかも常に学年10位以内の秀才で、卒業後はハーバード大学へ現役で進学した伝説の先輩。 ちなみに同級生にも、モデルこそしていなかったけれど、184センチという長身のバスケ部エースがいた。選抜チームに属するほど技術があり、一方で学年順位はいつも5位以内というスーパーマン。 カレも卒業後は、バスケがしたいという理由でアメリカの大学に進学したはず。 あっ、もちろんだけど、ふたりとも海外に行くまでの僅かな期間は、東京にある国立大学で数ヶ月過ごして、未練なく退学して渡米したらしい。 何が言いたいかというと、私の生活環境にはそれなりに長身イケメンエリートがいた。 そんな私でも思わず見入ってしまうほどに、水上君は長身でペラペラな身体にちっさい顔を乗っけていた。 そんな水上君は、職場ではあまり喋らず、滅多に表情も変わらないので、ちょっと変わった子認定を受けていた。 それでも、年齢の近い南雲君とは会話をするし、ランチも一緒に行く。南雲君には時折笑顔も見せるし、軽口もたたく。ランチを摂ったお店でたまたま二人を見かけた時、その笑顔が子供のようでとても可愛いことに正直驚いた。 驚きはしたけど、やっぱり変わっている水上君。 それが私の認識であることに変わりはなかったのに。
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