33人が本棚に入れています
本棚に追加
平日の仕事終わり、真っ直ぐ帰宅して、ルームウェアに着替えたら、好きな酒を飲みながら映画を観たり本を読んだりするのが、自分にとっての楽な時間だ。
至福の時だとか、癒やしの時間だとかじゃない。
ただひたすら楽な時間。
誰の目にも晒されず、誰かの好意を無遠慮に浴びせられることもない。
仕事で少なからずともすり減っている自分の心身を更にすり減らすような「業務外での付き合い」なんて、心底やってられない。
付き合いが悪いと言われようと、コミュニケーションは仕事の一環だとか正論のように見える自分勝手な主張を振りかざされようと、心の底から「どうでもいい」と思う。
仕事の評価と業務外の付き合いは全く関係ないのだから、もしもそんなもんで評価を下げるような会社なら出ていくだけの事だ。
とにかく誰の目にも晒されない時間を確保することは、物心ついた頃からオレの優先事項になっている。
オレの年齢が二桁になった頃から、周りがうるさくなった。
気づいたときには、小学生のオレを見るために、通学路で制服を着たお姉さんたちが待ち伏せしたりするようになっていた。
まだ小学生だったオレは、自分の家が比較的裕福な上に、自分の容姿が優れた部類に入ることを分かっていなかった。
思春期といえば聞こえはいいが、早くも色と欲を身に着けたお姉さんたちから見たら、そんなオレは格好のアクセサリーになり得るモノだったんだろう。
オレが中学生になって、自分達と同じように制服を着るようになった時にいち早くオレを手に入れようとしていたのかもしれないが、当時のオレはそんな事は分からないながらも、ギラついた目に追いかけられるのが怖くて、オンナのいない環境で過ごすために親に頼んで中学受験をさせてもらった。
最初のコメントを投稿しよう!