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そんなふうに自分中心で考えるのが息をするのと同じくらい当たり前になっていたオレが、まさかこんなに変わるとは思ってもいなかった。 正直、葉山さんに女性としての性的魅力を感じているとは言い難い。 本人にも伝えた通り、話すようになった当初は、他のオンナ同様に鬱陶しくも感じていたくらいだ。 でも、オレの身体のあちこちを触りたいと素直に要求してくるオンナは初めてだった。 オレに触りたい=オレと寝たいというオンナなら飽きるほど見てきたけれど、ただただオレのカラダの好みのパーツに触りたいだけなんていう変わったオンナは、初めてだ。 その時点で、ちょっと興味が湧いた。 ただ触るだけで満足するオンナなんているのか? 結局はオレと寝たという事実を作って、彼女面するようになるんじゃないのか? 葉山さんに、初めて「手を触ってもいいか」と聞かれたあの夜、試すつもりで「手だけなら」と触ることを許した。 その時の葉山さんの表情、言動は今でも覚えている。 許可をもらった葉山さんは本当に嬉しそうで、そっとオレの手に触れた後、嬉しさのあまり自分を制御できないというふうに、しっかりと指まで絡めてきて、それでも足りずにしっかりと腕にしがみついてきて、こう言ったんだ。 「めっちゃ嬉しい!はぁ~幸せすぎる」 ずっと欲しかったおもちゃをサンタさんからプレゼントしてもらった子供のようで、そこには散々見てきた計算高いオンナの顔は微塵も無かった。 思わず頬が緩んてしまい、「葉山さん、安いですね」とわざとからかうようなことを言って誤魔化さなければならなかったなんて、自分でも驚いた。 そんなオレの内心の狼狽えに気づくはずも無く、葉山さんはさらにギュッとしがみついてきた。 いつもの自分らしくもなく抱きしめてしまいそうになって、わざと邪険にする素振りをしたのに、まるで大切なものを取り上げられる子供のようにイヤイヤをした葉山さんは、媚びるのでも、誘うのでもなく、 「もう、もう、離したくないけど、本当に離したくないけど!最後にもう1回ギュッてさせて!」とお願いをしてきた。 それが自分には新鮮で、あの夜にはわかっていなかったけど、今思えばほんの少し愛おしさを感じていたんだろう。 いつもの自分ならふざけんなと切り捨てるだろうに、 「いいっすよ。もう好きにしてください」 なんて言っていた。
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