2

5/9
前へ
/81ページ
次へ
そんな水上君は、他の男性以上にお菓子を食べない。 私たち女子や中年のおじ様達のように太ることを気にして食べないわけでは勿論無くて、単にあまり好きではないらしい。 なので、旅行のお土産なんかを配るときには「食べる?」といちいち確認。 そんなだから、仕事を別グループの上司に助けてもらったお礼にとお菓子を持ってきた時にも、余った分を他の部員に渡しながら、水上君に声をかけるか私は迷っていた。 「お菓子食べる?」 要らないって言うだろうと思いながら聞くと、無言で頷くので、本当に食べるのかなぁ?と疑問に思いながらも配給。 もしかして気を使ってるんじゃないかな?と自分の席に戻っても心配だったけれど、南雲君とニヤニヤしながらこちらを見ているので「何?」と聞くと、 「お菓子美味しいって言ってるんですよ、水上が」 早速お菓子を食べたらしく、その感想を何故か南雲君に伝えたことで、南雲君が私に直接言えよとかなんとか水上君と話していたのがさっきのニヤニヤだったらしい。 「美味しい?それは良かった」 「おかわり欲しいそうです」 水上君の代わりに南雲君が答えてくれる。 「おかわり欲しいの?まだあるよ、食べる?」 「食べます」 さっきからずっと可愛い顔をこちらに向けてくれている上に、自らの言葉でおかわりを要求した水上君が可愛すぎて、完全に私は舞い上がり、花の蜜に吸い寄せられるミツバチのようにフワフワと近づいてしまう。 「こういうの食べないんじゃないの?」 お菓子をほとんど食べない水上君。 「今日は食べます」 よほど美味しかったのか、追加で2つもお菓子を食べている。 レアな姿に私は、最高に嬉しくなってしまった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加