13

2/2
前へ
/81ページ
次へ
水上くんは宣言通りに、土曜日以外にも必ず約束を入れるようになってしまった。 曜日はバラバラだけど、土曜日の定例会があるからか金曜日は対象外みたいで、今のところ週末の金曜日は安寧の日として守られている。 元々あまり予定は無い私でも、たまには友達とご飯くらいは行ったりするから、金曜日が守られているのはすごく助かっている。 そのうちに、連日でも一緒にいられるか試したいとか言い出さなきゃ良いんだけどね。 もちろん先に予定が入れば水上くんの誘いも断るのだけれど、相手が誰でもお断りするのが苦手な私としては「先約があるからごめんね~」という短いセンテンスを口に出すことがすっごくストレスになる。 ・・・。 もしかして、理屈は謎ながらもいつも私の考えを読み切っている水上くんのことだから、金曜日を安寧の日としたい私のために空けてくれているとか!? いやいや、さすがにそれは考えすぎだろう。 そこまで読み切られていたら、もういい加減私という人間に飽きてくるはず。 未だに私に構ってくるどころか、平日まで呼び出すようになるなんて、水上くんを異性として意識しない私によほど興味があるんだと思う。 確かにね、あんなに甘やかしてくれる人なんていないと思う。 実際に私は過去の数少ない彼氏に、水上くんのようなエスコートをされたこともなければ、甘々に接してもらったこともない。 多分、私が特別残念な経験の持ち主なわけではなくて、多くの人が似たようなものだと思う(そうであってほしい)。 だからこそなのかもしれないけれど、現実味がなさすぎる。 水上くんと過ごす時間は確かに魅力的なのだけど、当事者のはずの自分が傍観者になってしまうくらいに現実味ゼロ。 悲しいかな、どんなに憧れていても、それが現実になると受け止めきれないもので、受け止めきれずにキャパオーバーした私は、目の前で恋愛ドラマの収録を観ているような気持ちになることで、パニックにならずにいられるのかもしれない。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加