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「貴女が来るのをずっと
待っていたわ……何十年もの間」
夢中になって
料理を頬張る莉緒を見つめ
女は冷たく微笑んだ。
ダイニングテーブルは
料理が入れ替わり用意され、
お茶の時間は高級なお菓子や
フルーツが惜しみなく現れる。
やたらとカモミールやジャスミン、
ラベンダーのお茶を勧められ
暇さえあればハーブバスに
何度も浸かる。
そして刻々と移ろう海の色を
見下ろしながら
女から優しくマッサージを受ける。
薄汚れたスウェットを脱ぎ捨て
真っ白いバスローブを身に纏う。
莉緒はすっかり岬に建つお城の
お姫様になった気分だった。
── ハーブバスで充分香り付けして
ハーブソルトで全身くまなく
味付けしてあげる。
短い間だけど
たっぷり栄養を摂りなさい。
子宮の収縮を促すハーブティーが
もうすぐ痙攣を誘発する。
女は莉緒をマッサージしながら
しなやかな細い指で
その肉付きを確かめた。
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