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どれくらい時間が経ったのだろう。
私のスマホが光る。
彼からのメッセージが届いたようだ。
『無事に届いてるかな?』
思わず凝視していたスマホの画面から、ベッドに置いたままの白いカードに視線を移した時、私の目から涙が流れ落ちていることを自覚した。
白いカードに添えられていた彼の言葉が滲む。
『優子にはぜひ参加してもらいたい』
矢継ぎ早に突きつけられている言葉が私に『今』を教えてくれる。
今日は私にとって忘れられない日になった。
そう、今日という日は特別な日になった。
今まさに口の中で溶けていくドロップのように、私の『恋』がどうしようもない甘さだけを残して形をなさないことを知った日だ。
視界いっぱいの白が、誠司の輝いていた笑顔を私の心に焼き付ける。
全てを思い出として今ここに残していくのだという悲しみを知る。
ただ、それでようやく重ねてきた恋心という纏いをはらい落としてもいいのだと、分かった気がした。
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