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父と
ガチャリ、ドアの開く音がした。
「ケンタ、随分遅かったじゃないか。なんだ、随分疲れ切ってるな。何かあったのか?」
「うるさいな。あんたには関係ないだろ。ほっといてくれよ」
「そうはいかない。家族なんだ。様子がおかしかったら、そりゃ気になるさ」
「偉そうに言うな」
「そんなつもりはない。ただ、ケンタが心配なだけだ。お母さんだって心配してるぞ」
「ふざけんなよ。母さん?あいつが俺を心配するはずねぇだろ。今日だってどうせ、俺のことなんか気にもしないでさっさと寝ちまってんだろ」
「ケンタ、何があった?」
「みんなにできることが俺だけうまくいかねぇ。俺だけが怒られる毎日だ。もううんざりしてんだよ」
「なるほどな。でも大丈夫だよ、ケンタ」
「何が大丈夫なもんかよ」
「忘れるな、ケンタ。家族はいつもオマエの味方だ。オマエの帰る家には常にオマエの味方がいることを、決して忘れるな」
「、、、何だよ、ソレ。今どき、そんなん流行んねぇんだよ」
「おいおい。家族は流行りじゃない。日常だろ」
「、、、、、、、、、」
ケンタは俯きながら、照れ臭そうにしている。
「頑張れ。、、、ほら、とにかく風呂でも入って今日の疲れを癒してこい。しっかり追い炊きしといたからな」
俺が言うと、ケンタは静かに頷いて風呂場に消えた。
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