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もちろん全て、夢の中で。
日に日にリアルになっていく、その夢。
私の髪をすくあの指も。
耳に囁く吐息も。
身体を這う舌の感触も。
……全ては私の見る夢の中での出来事。
夢と分かり切っているのに、そのリアルな質感に私は現在とても悩まされていた。
昨日はその同棲相手の彼に、深い溜め息を吐かれて睨まれた。
あぁ、これは現実世界での出来事。
その、夢の中で共に生活している恋人役の彼は、こちらのリアルな世界では私の上司に当たる人だった。
いつも眉間に深いシワを寄せて険しい表情をしている。
黒い縁の眼鏡が、更に私を拒絶しているように感じた。
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