第2章 フロンティア

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第2章 フロンティア

40メートル級の木々が生い茂る広大な密林の一部が急に盛り上がるやいなや、木々よりも20メートルは巨大な人影が現れ何処へ行くわけでも無さそうにゆっくり歩き出した。上空からの景観は木々の間に道筋が有り、巨人はその道なりに歩いているようだ。まるで日々のルーティーンをこなしているかのようだった。 しかし、巨人は一体のみで周りに特に活動している巨大な人影は見当たらず、その異様な巨人の風貌は明らかに機械で組まれた造形をしていた。巨大なマシーンの口元らしい場所からはまるで人間が呼吸しているかのように白いガスがこぼれていた。 巨人が姿を現した足元には巨大に広がる菱形の鋼板とロックボルトを設置したカタパルトの様な装置が有り、おそらく地下からせりあがって来たのだろう、カタパルトにはあちこちが削れた後があり、何十年と繰り返し使用している経年劣化が目立っていた。 そのカタパルトから地下に数十キロメートル以上、深く潜った辺りから急に周囲は開け広大な地下空間を形成していた。広大な空間には巨大な人工建造物が立ち並び異様に静かなのと暗い所を除けば人類の第二の生活圏と言っても何ら差し支えないくらいの様相を呈していた。だが、その建造物のサイズやデザインは人間に会わせたもではなく「扉」らしき物は確認できるが大きさが100メートルを超える物から1メートルにみたない物まだ存在し、建造物も良く見るとどうやって建っているのか解らないような物から人が住めそうな物まで一貫性が無く、その都度、子供が思い付いたかの様な景色だった。巨大な空間の中央らしき所には巨大な円柱がそびえ立ち空間の天井を貫いていた。 「セイタイハンノウカンチ…テキタイセイリョクノカノウセイ80%…」 栗色の髪の少女の目の前に立つ巨大な人工の円柱が各所を光らせながら、一人でがなりたてているかのように少女に報告していた。 「うるさい!バデル!…敵?敵って何なのよ!」少女は苛ついた様に怒って、バデルと呼んだ円柱に言って捨てた。 「ウルサイデスカ?…エイシス?…ワタシハウルサイデスカ?…」バデルと呼んだ円柱はエイシスと呼んだ少女に聞き返した。少女の顔色はみるみる険しくなり、バデルに近付くとエイシスと呼ばれた少女はバデルと呼ばれた巨大な円柱を蹴り飛ばした。 「痛った~っ?!そんなことはど~でもいいんだよ?」バデルを蹴り飛ばした右足をさすりながらエイシスは不機嫌に言った。
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