裏庭での出会い

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特別棟は音楽室、化学室、美術室などの特別な教室(テーブルマナー室、社交ダンス室などもあるらしい。さすがは金持ち校。)が入っており、昼休みにはほとんど人気がない。 ましてや裏手側まで来る人間は昼休みに限らず全くいないので、寮部屋を除いて俺が1人でゆっくり出来る穴場だ。 しかも目の前には大きすぎず、かと言って小さくもない範囲に色とりどりの花々が綺麗に植えられた庭園がある。 実を言うと、俺は花が結構好きだったりする。(女っぽいは禁句だぞ) 最初こそ、この庭園の管理者が昼休みにやってくるのではないかとビクビクしていたが、そんなことは一度もなかった。 大方教師か学校に雇われた庭師辺りが人がいない時に世話しているのだろう、という結論に至り俺は昼休みに思う存分庭園鑑賞を楽しめているわけだ。 俺も植物を育てようとしたことは何度かあったが、どうも俺にはそっちの才能がないみたいですぐに枯らしてしまう。 まあそんな訳でここは俺の癒しの場の1つなのだが、その花々に囲まれた場所に豪華な木製のベンチが置いてある。 俺のぼっち飯場所だ。 ベンチに座り弁当を広げる。 ああ、今日はいい天気だな。なんてまったりしつつ1人弁当を食べ進める。 弁当箱の中身が空になった所でふと右斜め前方に人の気配を感じた。 俺は動揺した。 い、今まで約1年間1度たりともここで人に会うことはなかったんだぞ。 動揺を何とか内に抑えて相手の顔を凝視する。 そんな俺の視線を受けてか、相手もこちらに気づき視線が交わる。 っ!? あ、あの人は確か…。
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