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さっきので分かるだろうけど、俺は普段性格を偽っている。
理由としてはまあ、嫌われるためなんだけど…その辺の説明はまた今度で。
俺は周りの声を気にもとめず、しょんぼりと達輝君の背中を見送りつつ教室へ向かう。
因みにだけど、俺の容姿自体はそれ程悪くないと思う。
昔から可愛いと評判だった。
不本意ながら。
………不本意ながら!
そりゃあ、そりゃあさ?
ギリギリ170あるかないかの低身長に、目も大きくて童顔で女顔してるけどさ?
俺は男なわけで可愛いと言われても嬉しくないのさ!
まあ今はそれを有効活用して見事に嫌われ者として過ごしてこれている訳だから、この際女顔云々は気にしないんだけどもさ。
……で?
なんの話してたかな?
ああ、そうそう。
そういうわけだから、顔が良くても性格最悪の嫌われ者なんかに恋愛感情を持つような物好きはいないだろうってね。
俺も男相手に「しゅき……///」なんてなること、万が一、億が一にも無いし有り得ないし?
桃色の学園生活なんてものは鼻っから期待していないのですよ。
おっと、そんなどうでもいい無駄話をしているうちに我らがクラス、1-Aの教室に着いたみたいだ。
ガラガラッ、と教室の扉を開けて向かうは、窓側からも後ろからも3番目という良いのか悪いのか分からないポジションにある自分の席だ。
因みにその間俺が挨拶をすることは無い。
勿論クラスメイト達もだ。
俺はこの2週間ちょっとの学園生活で学んだのだ。
可愛く元気に挨拶してみた所で誰一人としてそれに挨拶を返す者など居ないのだ。
返ってくるのはヒソヒソネチネチとした俺への悪口のみ。
朝っぱらから教室入って挨拶するだけで悪口言われるとか気分悪いじゃん?
俺、悪い事なんもしてないじゃん?
それなのに態々毎日挨拶する程、俺はマゾ属性を備えている訳では無い。
まあ挨拶せずとも教室に入るだけでチラホラ悪口は聞こえて来るのだが…。
おぼっちゃま方は挨拶されたら返しましょーって教わらなかったのかねー全く。
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