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時は流れに流れ、この椿木学園に入学してから早一年。
俺は2年生に上がり、嫌われ者生活も問題なく続いている。
俺にも後輩ができ、初めこそ好意の籠った視線を受けていたが、俺の噂を知るや否や嫌悪の籠った視線に変わって行った。
今は5月。
進級して1ヶ月ほど経った今日も、午前の授業をそつなくこなし昼休みの時間となった。
俺はいつものランチ場所に向かおうと、自作の弁当を持ち教室を出る。
校内にも食堂はあるのだが、夕飯と同様の理由で食堂を利用することはない。
食堂にはとっても美味しいデザートがあると小耳に挟み、無類の甘い物好きな俺としては一度食べてみたい所であるが…。
いつか人が少ない時間にでも行ってみようかと考えつつ、結局今日まできてしまった。
近いうちに計画立ててみようか、とか考えつつ校内を歩いていると、“ドーン!”と言う効果音が付きそうな出で立ちで俺の行く道を3人の生徒が塞ぐ。
身長低めの俺が見下ろせる程の低身長にも関わらず、堂々とした立ち振る舞いに思わず数歩後ずさる。
この人達は知っている。
確かどっかの親衛隊をやっている先輩方だ。
この学園は、顔の良い生徒に親衛隊なる組織がついている。
なんでも、好意を寄せる相手に変な虫が付かないようにだとか、危険が及ばぬよう見守っているだとかが目的らしいのだが…。
はたしてその内情はどのようなものかなど、部外者の俺が知るわけもなく実態はよく分かっていない。
はて、この先輩はどこの親衛隊員だったかな?と思考を巡らせていると先に相手が口を開く。
「ちょっとあんた、また秦名(はたな)様にちょっかいかけたみたいじゃない。
相変わらず色んな親衛隊持ちに声掛けまくってるみたいだし、いい加減1人に絞って親衛隊入ったらどうなの?」
秦名様…ああそうだ。
この先輩方は3年の無口武士系イケメン、秦名 清武(はたな きよたけ)先輩の親衛隊だったな。
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