期末テスト

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ーーーーーー パタリとドアが閉まる。 もう愁と会うための理由は無くなってしまったんだと思うと、途端に寂しい気持ちになってくる。 僕は愁が嫌いだった。 何故かと聞かれれば、やはり噂のせいだろう。 それが今や会えなくて寂しいなんて思ってしまうほどになっているのだが。 最初に愁への印象が変わり始めたのは、初めて言葉を交わした親睦会の日だろう。 その日綺麗に着飾った愁を見た時、僕は思わず見惚れてしまっていた。 視線に気付かれて咄嗟に“中々”なんて言ってしまったが、自分は学園一可愛いと自覚している僕でも適わないと思ってしまった。 後からあの人物が愁だと知った時、悔しいと思いつつも納得している自分がいた。 性格は嫌いでも顔は僕の次くらいに可愛いと認めてたから。 しかし、その時の性格と噂が一致しなくて違和感を感じていた。 勉強会最終日に話を聞いてその違和感は無くなったが、愁がノンケだというのは意外だった。 その頃にはもう愁を嫌う要素なんて一切無くて、友達のように話せる仲になっていた。 この1週間は、友達と勉強するなんてした事無かった僕にとって特別な日に感じた。 僕のためにお菓子を作ってくれたのだってすごく嬉しかった。 …隣で幸せそうにカップケーキを頬張っているいずくんが恨めしい。 その様子を睨みつけると、気付いたいずくんがヘラっと笑う。 「そんな怖い顔しないでよぉ。」 「いずくん食べ過ぎ。 それ、僕のために作ってくれた物なんだけど。」 「あはっ、ごめんごめん! ……愁くん、いい子でしょぉ?」 「……うん。」 「いいお友達ができてよかったねぇ。」 いずくんとは長い付き合いだ。 僕に友達が居なかった事も知っている。 だから僕も愁が友達になってくれて嬉しいと思っているし、寧ろそれ以上の感情すら感じている。 僕はもっとかっこいい人がタイプだったはずなのに…恋愛ってわからないものだね。 愁はノンケだって言ってたけど、女みたいと言われてきた僕なら可能性は無くはないだろう。 今は友達だけど、いつかきっと…。
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