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1日目side:A
……ちゃん、誕生日おめでとう。
君のために心を込めてプレゼントを用意したよ。
…えっ?今日じゃない?
あはは、そんなことないよ。
今日が君の誕生日。
ふと目を覚ますと、わたしは知らない部屋にいた。変な夢を見ていた気がする。
8畳ほどの和室。やけにふかふかなベッド。床には服や本が置いてあって、隅の方に埃が積もっている。生活感満載。…ここ、どこだろう。どうしてわたしは、この部屋で寝ていたんだろう。わたしは…わたしは……?
見回すと、部屋の入り口に鏡があった。そこには知らない女の人の顔が映っている。右手を挙げると、その人も挙げる。つまりこれはわたしだ。
わたしは、誰?
何も思い出せない。自分の名前も、寝る前に何をしていたのかも。記憶喪失ってやつだろうか。
ベッドから起き上がり、窓の外を見る。知らない街だ。そしてどうやら、この部屋はけっこう高い位置にあるみたい。5階くらい、かな。
部屋の扉を開けると、右のほうから物音が聞こえた。人の気配がする。おそるおそる近づいてみると、男性が台所で料理をしていた。その男性は、わたしに気づくと、嬉しそうに笑った。
「あ、やっと起きたんだ。おはよう」
「………」
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