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初対面の時でさえ、もう少し温度があったような気がするのに。
……そう思いたいだけ、なのかも知れないけれど。
「聴こえてんのか」
返事をできずにいると、追い打ちをかけるようにもう一度訊かれる。
声を出したらすべてが崩れてしまいそうで、黙ってかぶりを振った。
泣いちゃ、だめだ。
わたしが悪いのに、この人の前で涙を見せるなんて卑怯だ。
家門さんはふうと溜め息をつき、ポケットに手を突っ込んでゆらりと立ち上がる。
その姿も声も仕草も、なにもかもに現実感がなかった。
家門さんはゆったりとわたしに向かって歩を進める。
肉食動物が自分のテリトリーを巡回する姿を思わせるその動きは、彼自身の人としての強さをわたしに見せつけてくるようだ。
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