Sadness of the attendant

1/21
前へ
/21ページ
次へ

Sadness of the attendant

 わたくしがその女子(おなご)を初めて見たのは、あの森のなかでした。その女子はとある国のいちばん下の姫で、毎日を暇そうに、森のなかにある菩提樹のもとに湧いている泉の傍で過ごしているのでした。  その姫が住む国から、山ひとつ手前の国でわたくしがお仕えする王子は暮らしておられます。ある日、王子は遠くの山へ狩りに出かけた際、そこに住む悪い魔女に目をつけられ、悪い魔法にかけられ、醜いカエルの姿に変えられてしまったのです。わたくしにとってそれはこの世のなによりも悲しく、とても耐えられることではありませんでした。魔女は、いやらしくぬめり光を放つカエルに変わった王子の姿を見届けるやいなや、汚らしい高笑いをしながらどこかの山へ飛んでいってしまいました。わたくしは、魔女を追うこともできず、わびしくゲコゲコと喉を鳴らして蠢くカエルを前に、膝をついて嗚咽を漏らすしかありませんでした。なぜ我が王子がこんな目に遭ってしまうのか。魔女はどうして我が王子を選んだのか。答えも、王子の姿をもとに戻す方法も判らないまま、わたくしは美しき白い肌や金色の髪をした主のかつての姿を脳裏に浮かべながら、ずっしりと重く湿ってい     
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加