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Episode01:都市鉱山
夏が終わり、暑さも落ち着いてきたが、九月半ばを過ぎても三十度以上の夏日が続く。汗は止め処なく出、拭っても拭ってもキリがない。レジ袋に用意してきたペットボトル数本、ぬるくなったが仕方なく何度も口に運ぶ。炭酸が抜けたコーラは美味くはないが、この際、飲み物ならばなんでもいい。補給しないと、水分が全部空気に吸い取られていくような気持ちさえしてしまう。
目の前が蜃気楼のように揺らぐ。ウミネコが数羽、からかうように頭上を飛び交う。鉛のように重たくなった空気と、足元のゴミの山をかき分けかき分け必死に歩いた。仕事でなければこんな場所に、こんな暑い日に来ることなんてない。思いながら流は、ゴミ埋立地に立っていた。
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