二人の距離

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 美伽は小学校から眼鏡を掛けていた。暗い所で本を読んでいたから悪くなったと言っていたが、本当だろうか。 「私は眼鏡で視力が1.2、裸眼だと0.4くらい。領家くんは目がいいもんね、羨ましい」 「俺は関根と違って、本なんか読まないからだよ」 「双眼鏡で見るにしても、最初に彗星の位置が分からないと見えないし、今日は領家くん頑張って見つけてよ!」  はいはい、と返事しながら横から美伽の雑誌を覗き込む。    ハレー彗星、――綺麗な写真だった。七六年に一度地球に現れるのがロマンチックだ。この彗星は運がいい人は二回出会えるし、一度も見られずに一生を終える人もザラにいる。そんなハレー彗星を今夜見つけられるだろうかと、少し不安になった。 ☆ ☆ ☆   電車は国分寺駅にすぐ着き、隣の西武線乗り換え口へと歩く、その先には黄色い電車がホームに待っていた。これで萩山駅まで行き、また乗り換えて西武遊園地駅まで向かう。隣に座った美伽はまだ雑誌を読んでいる。 「前から思ってたんだけど、なんで関根は星が好きなの?」  僕は何の気なしに聞いてみた。雑誌から目を上げた彼女は首を傾げて考え込む。 「何でだろう、星が好きなのか、それとも星座の話が好きなのかな、よく分からないな……。気がついた時には好きになってた、っていう感じかも」     
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