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西武園ゆうえんち
「関根は何に乗りたいの?」
「うーん、そうだなあ、観覧車かな」
何か本当のデートみたいだな、と言おうとしたけれど恥ずかしくなってやめた。美伽は僕が喋りかけている時は楽しそうにしているのに、話題が切れるといつも以上に黙り込んむ。僕はそんな美伽を見ても、ハレー彗星が見られるかどうか不安なのかなと思ったりしていた。
観覧車の下でチケットを買うと、待っている人が少ないのですぐに順番が来た。
「ほら、領家くん、多摩湖が綺麗!」
西の方を見ると多摩湖が広がっていた、冬の日差しを浴びて水面がキラキラ輝いている、本当に綺麗だった。振り返って東の方を見るとどこまでも広がる市街地。この景色の中に、僕の家も美伽の家もある、そう思うと何だか不思議だった。富士山はこっち、新宿のビルはどこ、東京タワーは見えない、などと二人ではしゃいでいるうちに、観覧車は一周してしまった。
「あー、楽しかった!」
美伽が観覧車を下りて背伸びをする、僕も続けて背を伸ばす。
「観覧車に乗ったのなんて、何年ぶりだろう」
「領家くん、その時は誰と乗ったの?」
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