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「違うよ領家くん! 高尾山なんて無理だって自分でも分かってる。だから近くだと西に開けている狭山公園あたりでどうかなと思って……」
「ああ狭山公園ね、多摩湖か……、でも暗くならないと見えないんだろ。いくら近いっていっても帰ったら九時は過ぎるよ。俺は良いとしても、関根はどうすんの? 塾でもないのに家の人がいいって言わないだろ」
なるほど僕に声を掛けてきたと言うことは、彼女一人では絶対に無理なんだろう。
「うん……、お母さんがね、領家くんが一緒なら少しだけ遅くてもいいって。女の子だけじゃ絶対ダメだって言うから」
そりゃそうだろう、女の子だけで夜に星を見に行くなんて、僕が親でも許さない。でも僕が一緒ならいい、っていう言葉にも責任を感じる。
「ホントにそんなこと言われたの?」
「うん、領家くんなら安心できるって」
美伽のお母さんには何度も会っているけど、そんなに信頼されても困る。どういう風に美伽が説得したのか、天文に関することなので絶対に行きたいと言ったんだろう、と解釈した。
「じゃあいいよ、七六年ぶりだからね。つぎは見られるかどうか分からないし。で、いつ行くの?」
「よかった! 明日土曜日でしょ、だから学校終わったら準備して、お昼から出かけようよ!」
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