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二人の距離
翌日の土曜日、下校して家に帰ると食卓にはレトルトカレーが置いてあった。昼食はこれを食べろ、ということらしい。ウチは共働きで土曜の昼はいつも一人で食べる、一人っ子の僕はそれが普通だと思っていた。
昨日すぐにウチの母親には許可を貰っておいた。僕が言った後に関根家からも電話もあったようで、とにかく美伽ちゃんをしっかり守りなさいよと、きつく言われた。狭山公園だからそんなに危険とも思わなかったけれど、夜だから気をつけようと改めて思った。
カレーを食べ終わった僕は準備に取り掛かる。準備と言っても防寒着や雨合羽、使い捨てカイロ、あとはカメラをリュックサックに入れたくらいのものだ。魔法瓶の熱いお茶とかは、多分美伽が準備するだろうと思って持っていかなかった。
一応美伽のお母さんにも挨拶した方がいいと思い、彼女の家まで迎えに行った。呼び鈴を押すとすぐに美伽が出てきた。
「ごめんね、もうすぐ準備できるから」
準備が出来るまで中に入って待てと言われる。彼女の家には何回も来ているのに、やっぱり少々緊張する。家具や小物類など、随所に裕福な家なんだろうと思わせる物があった。
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