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「でも領家くん……、このリュックは色が赤いよ、それでもいいの?」
「まあいいよ、関根が持って疲れてリタイヤするよりマシだから」
彼女はそれほど体格も良くないし、体力を余らせている方でもない。これをずっと担いだら相当疲れるはずだ。
「じゃあ、お願いしようかな」
お互いの荷物を持ち替えて家を出る。お母さんは何度も僕に頭を下げていた。
☆ ☆ ☆
アパートから東小金井駅まで歩いて一五分、中央線で国分寺に行き西武線に乗り換えて西武遊園地駅までがだいたい四〇分。西武園遊園地駅から歩いて行くことと乗り換えの時間を考えたら、やっぱり一時間かそれ以上みておいたほうがいい。そんなことを二人で話しながら歩いた。
土曜の昼間とはいえ季節は一月の半ば、出歩く人も少なく街は寒々としている。隣を歩く美伽は帽子とマフラーで完全防備。彼女とこんな風に歩くのは、いつ以来だろうと思い返す。
「関根と外出するのって、バック・トゥ・ザ・フューチャー観て以来だったっけ?」
「うん、バック・トゥ・ザ・フューチャー観に行って以来」
「そうか、あれ、面白かったなあ」
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