2#あのごろつき猫の忘れ形見

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 他の猫の前で、笑顔を見せる事の無かった無頼のアル。  何故アルがこんなに微笑んだのか、ゴロの元部下であるイニには解った様な気がした。  ・・・アルさんはかつて、ゴロさんがアルさんを誘きだそうと、ゴロさんの妻・・・ミイさんが妊娠中の身にしてひと芝居うつ事に駆り出された不憫さが、此処に現れた自分のせいだと己を恥じて居たからにゃ・・・  ・・・ミイさんが無事に出産したと聞いて、背負ってきた十字架を下ろす事が出来たから・・・こんなに喜んだんだろうにゃ・・・  「『イニ』とやら!教えてくれ!!ミイの子が居る家とやらを!!」  「そう、興奮しまくても大丈夫だよ。アルさん。俺の後を付いていけば逢えるさ。」  ・・・『無頼』のアルさんが・・・  ・・・本当に嬉しかったんだな・・・  イルは、アルの目から一筋のの嬉し涙を溢していた事を見逃さなかった。  野良猫のアルは、イニの後をまるでスキップしながらルンルン気分で付いていった。  裏道を抜け、  塀を渡り、  柵の隙間を潜り・・・  「付いたぜ。1匹目。」  「どれどれ?ほほお!!」  妻ミイの生き写しの様な三毛猫が、家の中でキャットベットの中でグーグーと眠りこけていたのをアルは発見したとたん、堪えていた涙がどっと流れてきた。  「『くるみ』って、人間の飼い主に名付けられたんだ。  くるみちゃんは保護猫で、あの人間の家族の一員だよ。本当、幸せな寝顔してやがる・・・」  キジトラ地域猫のイニの目からも、涙を溢れた。  「アルさん・・・1匹目が此処に居る事を知ったね。  後3匹、居場所を知ってるんだけど・・・教えようか?」  「ああ、喜んで・・・」    イニは、アルを連れてゴロの妻ミイの子を次々と見せて巡った。  「2匹目。あそこの居酒屋の前に寝そべってるデブ猫。『パンク』つー名前だ。  すっかり看板猫の風格だよ。」  「3匹目、あそこの縁側で、ライオンが吠えるように大あくびしてる、白キジの『ミョン』。  癒やし系の風格だよ。」  「4匹目、ここの家の玄関。ここの飼い犬の柴犬とじゃれてるハチワレの『ゲンコ』。  柴犬の仲良しこよしさ。」   ・・・・・・  「ありがとう・・・本当にありがとう・・・イニ・・・教えてくれて本当にありがとう・・・お前は本当にいい奴だなあ・・・ゴロは本当に良い部下を持ったもんだ・・・!!」
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