第二章

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第二章

あれから一年ほど、俺はできるだけあの女から離れていた 始めの2,3か月は何度もまたあそこに行きたい衝動に駆られていたが、 他の人間を吸血しているうちに徐々にその熱は冷めていった よく考えれば、初めてあった時も、あの翌日の日も血は激不味で、あの晩だけが何故か特別に美味くなっていた (きっと元々は不味いんだろう) (逆にあんなに美味くなることは滅多にないはずだ) (あの不味さには耐えられない) (だからもう二度とと吸いたくない) 俺は自分に言い聞かせる たしかにあの美味さは俺を惹き付けてやまないが、自分の行動もおかしくなってしまうから、あの女にはもう近づかないでおこう… そう心に決めてからは、淡々と今まで通り適当な人を惑わせ血を吸っていた だが、どの血も必要最低限で十分 上手いと言われている処女の血でさえ俺を強く引き付けることはなく、適当な量を吸っては記憶を消して解放していた また粉雪が降る、雪を見ると彼女を思い出してしまう だから、今年は幻覚でもあの女の香りが感じないところへ行くことにしたー
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