第二章

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「おがあざん~、のぼぜだ~」 部屋に入りながら母を呼ぶのは子供達ではなく私だ ティッシュで鼻を抑えて何年ぶりかの鼻血を止めようとしていた 「全く浮かれすぎよ~、三時間もお風呂から帰ってこないから子供達が起きちゃったじゃない、 ご飯いくわよ~!」 「だって去年は泊まれなかったんだもん~」 (この鼻血はお湯にずっと使っていたからだけじゃない) 今日は彼の命日だ 三回忌は参加者の都合が会う日に行ったので既に済んでいる 母はなにも言わないけど、私を気遣って温泉に誘ってくれた だけど、私より孫が大切なようでさっさと先に行ってしまう 血が止まったことを確認するべく洗面台に行く 大量の血がついたティッシュを空っぽの洗面台下に置かれたゴミ箱へ捨てて、鏡で鼻の穴を確認する 血は止まったようだ、だけど、鼻の穴の回りがまだちょっと赤い なので肩にかけているタオルで拭う ちょっと血がついて赤くなったのでそこだけつまんでオレンジ色の染みになるまで洗う あれからあの男に出会うことはなかった 最初の一ヶ月くらいはまたあの人が現れたらどうしようとドキドキしていたけど、そんな思いは無用ですぐに日常に戻っていった だけど、今日は命日で一年前にあんなことがあった日だ、うっかりあの男のことをお風呂で思い出してしまって頭に血が上った 部屋の電話が鳴る…受話器を急いでとると、 「まだ~?ご飯来ちゃったわよ~」 「今出るとこ先食べてて!」 置いていったのにひどいマイペースさだ、まぁ、私も変わらないのだがー
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