episode227 悪魔狩り

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「家に帰ろう。なあ和樹。すべて家の中で決着をつけるんだ」 優しい声音が何より恐ろしい。 柔らかいニットが肌に触れる度 魔王のマントに抱かれて攫われる気がする。 「悪いようにはしないで……」 しかし僕はもう 著しく抵抗力を失くし 「ああ、悪いようにはしないさ」 万に一つも信じられない言葉を 鵜呑みにする他なかった。 「呼んだら屋敷へ来い――逃げようなんて思うなよ」 征司は僕の肩を抱き立ち上がると 割に軽い口調で薄井に言った。 「こんな傷で済んだこと、お義兄様に感謝しな――」 立ち尽くす男の傷口に そっと触れたかと思いきや。 「くっ……!」 無言のままみぞおちに重い拳を打ち据える。 「行くぞ」 苦悶の表情でベッドに沈む男の横顔がチラリと見えたが。 王様は僕が振り返る事さえ許さなかった。 「帰りにエスプレッソを飲もう。カフェインが欲しい気分だ」 それから真夜中にエスプレッソを所望した。 僕は「はい」とだけ答えて今は全ての思考力を手放した。
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