episode227 悪魔狩り

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もっとも拘束を解かれてももう 僕には腕を上げる力さえ残ってやしなかったけれど。 それから着ていたニットコートを脱いで 冷たくなった僕の身体を包むと言った。 「ここを出るぞ」 ここ――。 僕を懲らしめるためだけに 用意した大掛かりなセットだ。 「ここを出てどこへ行くの……?」 横抱きにされ逞しい肩に頭を預けたまま 僕は子供のように聞き返した。 「悪魔狩りだ」 口元だけ ニヤリと笑って征司は答えた。 「――本物の悪魔を狩りに行く」 暗闇の中で力強い双瞳は 鏡のように僅かな光を反射し前だけを見つめていた。 僕を閉じ込めていた扉を押し開ける。 この人がその手で――。 もう逆らうのはよそうと僕は思った。 いつもの事だ。 この先も気まぐれなお戯れに付き合うしかない。
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