episode227 悪魔狩り

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幾日かぶりに外へ出ると。 放り込まれたベントレーの後部座席に 新しい服が一式揃えて置いてあった。 僕の好きなブランドではない。 完全に運転席の洒落男の趣味だ。 しばらくはシャツに袖を通す気にもならず 僕は裸体に柔らかなニットを撒きつけたまま 猫のようにそっぽ向いていた。 しかし信号待ちで 派手なくしゃみが響くと同時。 「いい加減それ返せ」 前から伸びてきた腕が 非情にも全裸の僕から温かな毛布を掻っ攫って行った。 「早く服を着ろよ」 素早くコートを羽織り直すと バックミラー越しに。 「留置所から出たばかりでまた警察に捕まるのはごめんだろ?」 呆れ顔でそう言って 征司はアクセルを踏み込んだ。
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