episode227 悪魔狩り

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「今度こそ本物の警察だ。ヤだろ?」 緩慢に髪を掻き上げて 僕は返事の代わりにあくびした。 致し方ないさ。 時刻は午前3時前だ。 「こんな時間、みんな寝てるでしょう」 それこそ警察だろうが役人だろうがみんな――。 窓を開けているわけでもないのに 真夜中特有の張りつめた静けさが車の中まで深々と満ちてくる。 「だから悪魔狩りにうってつけなんだ」 征司はまたしてもバックミラー越しに 今度は確信的に呟いた。 「悪魔狩りにうってつけ……」 サリンジャーの短編に そんなタイトルがあったなと僕はぼんやり思い出す。 あるいはそれはまったく僕の思い違いかもしれなかった。 「それで?これからどこへ向かうんです?」 こんな時間に。 いや、こんな時間だからこそか――。 「服を着たら教えてやる」 征司はこんな時だけ誠実な父親みたいにピシリと言ってのける。 「やれやれ」 ようやく新しい服に手を伸ばして 僕はまた温いあくびをした。
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