episode227 悪魔狩り

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都会で見られる星の数は僅かだ。 しかし完全な闇はどこにもない。 濁った濃紺の絵の具を流したみたいに ただ凡庸な夜空がどこまでも淡く広がっている。 「ここは……?」 そんな真夜中。 どこかのすさんだ駐車場に征司は車を止めた。 目の前にそびえたつ古いレンガ色の建物は 人気のない廃墟のように見えるが。 時間が時間なだけかもしれない――。 (病院だ……) 頭上で鈍く光る十字がそれを示している。 「行くぞ」 何の説明もないまま征司は先に立って歩き出した。 夜間救急専用の扉から踏み込み 暗い廊下をひたひたと足音も立てず進んでゆく。 設備は古く人気もない。 鼻をつく消毒の臭い。 夜の病院はそれだけで不気味だ。 無言のまま階段を登ると――。 征司はとある病室の前で足を止めた。
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